シグナルキャッチ
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シックスクールアンケート調査


2003年10月28日 アンケート用紙送付
2004年3月28日 シックスクールアンケート報告・シンポジウム開催

送付 回答
送付した学校 34 27 80%
記入した先生 1,000 400 40%
意見を書いた先生 1,000 36 3.60%
シックスクール知っている 1,000 251 25%
アンケート内容 はい いいえ 無回答
先生・学校で体調が
悪くなる時期行事がある
118 249


化学物質が人に及ぼす危険性アンケート(学校)集約
先生から見た子供たちの症状アンケート
先生の症状アンケート
[先生から見た子供達の症状]ご意見
シックスクールアンケートまとめ
シグナルキャッチ
シックスクールアンケート結果 考査、意見書
Y.H.C矢山クリニック 重田研一郎
シックスクールアンケート結果に対するコメント
佐賀大学理工学部機能物質化学科 宮島徹

アンケートの内容は、次の通りです。

化学物質が人に及ぼす危険性アンケート(学校)集約
@ 運動場の草むしりはしていますか?
      1、はい 44          2、いいえ 12
  2、と答えた方、草の処理方法は?
      1、機械で刈る 10    2、除草剤を撒く     3、その他(業者 13   )
  2、と答えた方は年に何回撒きますか?
      1、一回 13     2、二回      3、三回以上 4
A 運動場・校庭の植木の手入れについて
      1、殺虫剤使用(年    回)  5
      2、業者委託  (業者名  )  26
      3、分からない  15
B 遊具のペンキ塗りについて
      1、年一回  16 ( 先生  生徒  保護者  業者  その他 )が塗る
      2、年二回以上  0( 先生  生徒  保護者  業者  その他 )が塗る
      3、ペンキ塗りはしない  21
C トイレに消臭剤を置いていますか?
      1、はい  9       2、いいえ  40
   1、と答えた方、何を置いていますか?
      商品名(                                      
D 教室の化学物質(ホルムアルデヒド・トルエン等)濃度測定はしていますか?
      1、はい  29      2、いいえ  14
E ワックスについて
      1、使用している  35(商品名            ・年    回・ 誰が?       )
      2、使用していない  8(方法                     )
   1、と答えた方、塗られているワックスで体調が悪くなりますか?
      1、はい  4      2、いいえ  30
   1と答えた方、ワックスがけはいつ行いますか?
      1、平日の放課後 20 2、土日 0 3、夏休み 6  4、冬休み 5 6、春休み 6
      7、授業中 0
F 誰がワックスがけをしますか?
      1、教諭 38 2、児童・生徒 8 3、業務主事・用務員 5 4、業者 2 
      5、わからない 6、その他(               )
G 教室の換気について
      1、換気扇等の設備がある  9
      2、窓を開ける  37(一日         回)
H 掃除について
      1、洗剤を使用している  (商品名                 )
      2、水拭き          39
      3、化学雑巾        1
      4、その他         8
I 教室の床の構造について
      1、絨毯  8   (           室)
      2、木   31    (           室)
      3、ゴム・Pタイル  11(           室)
      4、その他       (           室)
J 学校で購入・納入・使用する物の安全確認はしていますか?
      1、全てしている 17 2、一部している 7 3、していない 2 4、わからない14
 2、と答えた方、何故ですか?
      1、必要ない 1 2、手間がかかる 1 3、わからない 3
L 「学校環境衛生の基準」が改定され、定期・臨時検査な化学物質の測定が
   義務付けられましたが、測定が行われましたか?
      1、実施された 23 2、予定されている 1 3、予定はない 0 4、わからない 14
M 2001年1月29日に文部科学省出された通達を知っていますか?
      1、知っている  19     2、知らない  19
N 2002年2月5日に出された「学校環境衛生の基準」の改定を知っていますか?
      1、知っている  20     2、知らない  18
ご意見・ご感想
          
先生から見た子供たちの症状アンケート
@ 保健室に行く子どもは増えていますか?
      1、はい  29         2、いいえ  67 
A 1、と答えた方、症状は?
      1、? けが 10 2、頭痛 20 3、腹痛 8 4、発熱 2 5、発疹 1 6、吐き気 0 
      7、鼻血 0  8、わからないという 2 9、その他 10(              )
B 遅刻する児童が増えていますか?
      1、はい  22         2、いいえ  74
C 授業中気分が悪くなる児童・生徒がいますか?
      1、はい  27         2、いいえ  71
D 1、と答えた方、それは何の授業ですか?
      1、 図工2  2、音楽2  3、習字1 4、水泳1 5、理科1 6、パソコン1 
      7、体育4  8、運動会2 9、その他9
ご意見・ご感想
[先生から見た子供達の症状]ご意見

≪A校≫
  1.新校舎の引越しと同時に激しい頭痛、呼吸困難状態を引き起こし、
   自分自身でも何が起こったのか把握できなかった。しばらく通院し、
   薬を服用したが、なかなかおさまらず窓を全開(台風の時も少しあけていた)、
   換気扇を回すことで多少緩和された。
   壁に吸着剤を施すなどの工事を入れてもらうことで多分楽になったが、
   週のはじめは、二日間教室、校舎が占められていたこともあり、多少息苦しい。
   窓も廊下から南側まで通り抜ける状態でないと頭痛や息苦しさを感じる。
  2.新校舎が出来た後、具合が悪くなった先生がいました。
   私のように健康なものには分からない苦しみがあったようです。
   見ていて気の毒なほどでした。
   同じような思いをしている子供もいるのではないかと考えると、
   これは早急に手を打つべきだと思います。シックスクールが.原因なのに、
   そうだと気づかずにいる本人、保護者。そこに気づいてあげるのも教師の役目かと
   感じる今日この頃です。
  3.自分は体に異常を感じたりすることがないので、
   そういう症状があることも知らなかったし特別意識をしたことがなかったが、
   本校の新校舎の新築に当たって、いろんな症状があったことも知り、意識するようになりました。
  4.ある程度体内に蓄積されてからの発病なので今症状が出てないけど、恐ろしい。
  5.各教科の準備室の様な、狭くて棚の多い教室が特にひどいようです。
  6.特別教室に入った時は、匂いが凄いので窓をすぐ開けるようにしています。
   また、戸棚を空けたときのにおいがすごいと思います。新しいものは綺麗でとてもいいですが、
   においが少しきついような気がします。子供達も気になる子は気になっているようです。
  7.締め切った音楽室、図工室に入った時、目がしみるような時があります。
   特に理科準備室はひどいように思います。また、授業をしていて具合の悪くなる子もいましたが、
   あれは風邪気味だったのかどうかは分かりません。
  8.新校舎の教室(理科室、家庭科室)を利用すると塗料(?)のにおいがきつく、
   目がチカチカします。長時間いると頭痛がするときも…
  9.本校では、シックスクールではなく、新校舎の塗料や家具の接着剤が原因と思われるので、
   シックハウスの方だと思う。
 10.昨年度に比べて、本当に疲れやすくなりました。子供達が下校した後しばらく休まないと
   動く気になりません。ひどい時は頭痛がしてきます。
   体の小さな子供達、成長期の子供たちのことを考えると恐ろしい気がします。
   「安全だ」といえる学校づくりを私達も含めてする必要性を感じています。
 11.児童数の増加もあるため一概に来室者が増加しているとは言えない。
   また、朝食をとらない、就寝時間が遅いなどの基本的な生活習慣の乱れや、
   大人のペースで子供を振り回すような休日の過ごし方の子供達の健康生活に
   大きな影響を与えていると思われる。
   今後増加するであろうアレルギー性の疾患と生活習慣の両面からの指導支援が望まれると思う。

≪B校≫
  1.子供も大人も、心も体もくたくたです。ゆっくり休養することも大事ではないでしょうか?
   毎日、みんな忙しすぎる気がするのですが・・・
  2.チョークの粉吸い機がないと(教室に一台)、はたく時吸って困っている。手も荒れる。
  3.いろいろな子供が来る学校なので、体に悪いと言われているものは学校には使うべきではない。
  4.シックハウスのようなことですか?
  5.最近の子どもの抵抗力がなくなった。綺麗な(せいけつ)環境の中で育てられすぎ。
   もっと雑草のようにたくましく。

≪C校≫
  1.花粉症で体調が悪くなる時があります。
  2.塗料などに含まれる材料で変わるのではないでしょうか。

≪D校≫
  1.シックスクール症に該当する生徒はうちのクラスには居ない。

≪E校≫
  1.教室環境では、整髪料やオーデコロンなどの芳香による過敏症を訴え来室する生徒も
   最近見られるようになった。アンケートについては、問がシックスクールによる来室傾向で
   あるのかどうかよく分からないので回答していません。

≪F校≫
  1.全然関係ありませんが、本校の美術室などの真夏の授業は体調を悪くすると思う。
   室温高すぎ。自習監督に行って気分が悪くなりました。
   この前のシックスクールの検査結果を知りたくなりました。
  2.自分自身がダニアレルギーなので、絨毯やOAフロアの部屋に入るとくしゃみが
   止まらなくなる時がある。また、合板などに使用される接着剤のにおいにも敏感なので、
   定期的な検査を今後も続けて欲しい。
  3.何もなく、健康です。心身ともに健康でなければと、気をつけようと思っています。
  4.毎日、休み時間・放課後に保健室が生徒で一杯なのが目に付き、気になります。
   気分が悪いわけでもなく、怪我したわけでもないのに集まるのは異常に思います。
   また、授業に参加しないというのは、ほかの子供達には不公平に感じられ、
   あまり授業に対して意欲が出せないのではないかと思います。
  5.シックスクールと関係ないことで、保健室への出入りが多すぎて本当に具合が悪いことの
   区別が分からないことが多い。
  6.シックスクールが原因とは(今のところの来室状況からは)思えない。
   確かに、アレルギー性の疾患が増えて、季節によっては花粉症、イネアレルギー、ハウスダスト、
   動物、その他の植物によるものなど、アトピーも多いように感じる。
   本校は4月に新しい校舎に入ったばかりだが、シックスクール対策も十分にしてあるということで、
   今のところ検査結果も基準を満たしていたとのことで、生徒の様子にそれらしき疾患を疑わせるものは
   出ていないように思うが。でも、非常に空気環境に過敏な生徒(教師)もいると考えられるので、
   今後とも様子を見ながら対応していきたい。

≪G校≫
  1.教室の喚起を十分に考えて、窓をよく開けるように心掛けています。
   窓あけ係などを作り、クラス全員でおいしい空気を吸うようにしています。

≪H校≫
  1.生徒達を見ていて、変化は認められません。

≪I校≫
  1.睡眠不足や疲れなどで、保健室に行っているようです。
   若干の生徒に規則正しい生活習慣の指導が必要だと思います。

≪J校≫
  1.喚起をよくするように窓を開けるが、自閉の子が閉めまわすので、
   その子が居ない時に気をつけてしている。
  2.ラッカーなどはなるべく外で使うようにしている。(自閉の子が窓を閉めたがるため。)
  3..Bで1と答えているが、環境によるものではないと思われる。

≪K校≫
  1.学校のみならず、建物を建てる時に使う材料は、体に害のないものを選びたいと思います。

≪L校≫
  1.シックスクールという言葉を初めて知りました
  2.絨毯、壁材としての合板、壁紙(接着剤で張るから)はやめたほうがいいと思います。

≪M校≫
  1.新校舎を作る時は、十分配慮され、安全な環境で、子供も、職員もすごせるようにして欲しい。

≪N校≫
  1.先日調査がされたようだが、今までにそういった症状があったという報告がどれくらいあったのか?
   どのような理由で、調査されているのか。きちんとこちら側にも説明して欲しい。

≪O校≫
  1.シックハウスという言葉はよく耳にしていたが、学校でも同じことがあるのかと興味深い。
   最近の子供達の免疫力低下の傾向は、親の育て方にも問題があるのでは?
   砂場の砂まで、殺菌したものが使われる世の中では・・・。

≪P校≫
  1.「シックハウス」ということばを耳にしますが、それを考えると学校にも同じことが考えられますね。
   先日の新聞記事の結果を見ても驚きましたが、子供達にとって過ごしやすい環境作りを第一に
   考えてもらいたいと思います。

≪Q校≫
  1.だんだん無理がきかなくなった。

≪R校≫
  1.「シグナルキャッチ」がどこのどのような団体なのか明記して欲しいと思います、
  1.学校内の教職員の研修や児童の行事が多すぎます。
   それらにふりまわされている現状をどうすれば変えられるのかといつも悩まされます。
   学級担当が抱える雑務も心身ともに健康な時はいいのですが、クラスの子の生活指導とかに
   おわれている時は大きなストレスです。副担当制とかにはならないのでしょうか。

≪S校≫
  なし

先生の症状アンケート
@学校で体調が悪くなる時期・行事はありますか?
      1、ある 118     1学期、2学期、3学期、夏休み、冬休み、冬休み明け、春休み、
                   春休み明け、週のはじめ、週の中ごろ、週の終わり、運動会、
                   学校祭、学芸発表会、参観日、
                  その他(                                )
      2、ない 249
A特定の授業で体調が悪くなることがありますか?
      1、ある       国語、書道、算数、数学、社会、理科、総合学習、科学、化学、
                  英語、音楽、図工、美術、家庭科、技術、体育、
                  その他(                                )
B シックスクールという言葉を知っていましたか?
      1、はい251       2、いいえ
C 1、と答えた方、どのようなものが原因と思いますか?
      1、机・いす  2、クレヨン 3、絵の具  4、粘土 5、版画板 6、トイレの芳香剤
      7、プールの塩素  8、工作用接着剤  9、工作用塗料  10、コンピューター   
     11、整髪料  12、除草剤  13、殺虫剤  14、ワックス 15、合板  16、じゅうたん
     17、合成洗剤  18、教科書  19、白線の粉
ご意見・ご感想


シックスクールアンケートまとめ
シグナルキャッチ

 シックスクールアンケートは佐賀市内の小・中学校全部で34校に郵送しました。その内の約80% 27校が記入して返送、34校の先生 約1000人の内38%約400人の回答を頂きました。校長先生と養護の先生を除くと360人の先生に記入していただいています。360人の先生の回答の中で、「学校で体調が悪くなる時期がありますか」の質問に「悪くなることがある」と答えた先生が118人、「その時期」を聞いた問いに窓を締め切っていて室内の化学物質の濃度が高くなる、週の初めとか休み明け等と答えた先生が118人中46人,約39%でした。

 「シックスクールという言葉を知っていましたか?」の問いに全体の3分の2くらい251人の先生が知っていると答えています。その内、合板、工作用の接着剤、塗料、ワックス、じゅうたん等、建物に付随するものが原因と考えておられる方が約45%でした。

 今回のアンケート結果で大きかったのは
先生の実体験とか先生の感じた所を率直に書いて頂けた事でした。これらを総合的に考察してシグナルキャッチとしてまとめると全体の3分の2の先生がシックスクールという言葉を知っていました。しかし、教科書、絵の具とかの学校用具が原因だという認識は、アンケートでは、ほとんど回答がありませんでしたので、単にシックスクールという言葉を知っているだけだと考えられます。原因は建築材料の中にあってこういうものは原因じゃないと考えられているようです。

 
先生の意見の中に呼吸困難等、自分の体験を書いてくださったということは、嬉しいことでした。ただ、先生がそこまでの症状がでているのに「子どもにはそういう症状は出ていません」「見られません」という答えが一番多かったのはちょっと残念に思います。大人の先生がこれだけの症状を訴えているので子どもたちにも「目が痛い」「アレルギーが悪化した」「のどがいがいがする」などいろいろ症状があったのではと考えられます。
 そんな症状を先生自体がシックスクールを理解していないと取り上げてももらえません。是非これを機会に先生方もシックスクールというものがどういうものかもじっくり考えていただきたいと思っています。

 
先生方に参加していただき、一緒に勉強しようと、3月28日シンポジウムを開催しました。文書やFAXでお誘いをしましたが、一人の参加もなかったのはとても残念なことでした。シックスクールという内容を熟知していただき、子どもがシックスクールと疑われる時に先生に適正に判断していただけるようなそういう社会作りを先生方とすすめていければと思っています。

 今年度も、引き続き、佐賀市より助成をいただき、保護者の方や、もっと多くの方に、シックスクールによる子どもたちの症状の現れ方などを、知らせる啓蒙活動を1年間かけてやりたいと思っています。また長年、化学物質化敏症を診てこられたお医者様や、研究されている大学教授にお願いして、来年2月頃、講演会を開催したいと思います。除草剤を含めた農薬の問題について、こちらも勉強会、啓蒙活動、行政への提言等、行なっていきますので、応援よろしくお願いします。





シックスクールアンケート結果 考査、意見書
Y.H.C矢山クリニック 重田研一郎

 1.はじめに
 最近、ますますアトピー性皮膚炎や花粉症、喘息などのアレルギー疾患が増えています。その根本原因のひとつとして、化学物質による体内環境汚染が考えられます。当院では、ガンや難病を含めて、全ての病気の根絶を目指し、西洋医学のみならず、東洋医学、代替療法など、有効と考えられる治療法は全て取り入れた、ホロトロピック医療というものを日々、研究・実践しています。
その関係上、化学物質過敏症の患者さんも治療のために来院されることがあります。このたび、シグナルキャッチよりシックスクールアンケートの考査を依頼されました。佐賀には、この病気に関する専門化が存在しませんし、医師の間でもまだまだこの化学物質の人体に及ぼす影響に関する認識が低いため、一臨床医としてではありますが、私が意見を述べさせていただきます。




 2.アンケート結果


「シックスクールという言葉を知っていましたか?」の質問に対し、67%の先生方が「知っている」と答えられました。この病気の認識が高まってきたことを示していると思われます。逆に、30%の先生方が「知らない」と答えておられます。「シックスクールという言葉をはじめて知りました。」「最近の子供は抵抗力がなくなった。もっと雑草のようにたくましく。」「生徒を見ていて、変化は認められません。」「シックスクールに該当する生徒はいない。」「最近の子供たちの免疫力低下の傾向は、親の育て方にも問題があるのでは?」などの意見がありました。シックスクールの認識をさらに高めていく必要性を感じます。

 先生方自身の中にも、シックスクールの症状に悩まされている方がおられるようです。「新校舎の引越と同時に激しい頭痛、呼吸困難状態を引き起こし、自分自身でも何が起こったのか把握できなかった。なかなか治まらず、窓を全開し、換気扇を回すことで多少緩和された。(台風の時も少し開けていた。)壁に吸着剤を施すなどの工事を入れてもらうことで大分楽になったが、週のはじめは、2日間、教室・後者が閉め切られていた事もあり、多少苦しい。窓も廊下から南側まで通り抜ける状態でないと頭痛や息苦しさを感じる。」「新校舎が出来たあと、具合が悪くなった先生がいました。私のように健康なものにはわからない苦しみがあったようです。見ていて気の毒なほどでした。同じような思いをしている子供もいるのではないかと考えると、これは早急に手を打つべきだと思います。シックスクールが原因なのに、そうだと気付かずにいる本人、保護者。そこに気付いてあげるのも教師の役目かと考える今日この頃です。」「各教科の準備室のような、狭くて棚の多い教室が特にひどいようです。」

「特別教室に入ったときは臭いがすごいので窓をすぐ開けるようにしています。また、戸棚を開けたときの臭いがすごいと思います。新しいものはきれいでとてもいいですが、臭いが少しきついような気がします。」「閉め切った音楽室、図工室に入ったとき、目がしみるようなときがあります。特に理科準備室はひどいように思います。また、授業をしていて具合が悪くなる子もいました。」「新校舎の教室を利用すると塗料のにおいがきつく、目がチカチカします。長時間いると頭痛がするときも・・・」「新校舎の塗料や家具の接着剤が原因と思われる。」「本当に疲れやすくなりました。子供たちが下校した後しばらく休まないと動く気になりません。ひどいときは頭痛がしてきます。体の小さな子供たち、成長期の子供たちのことを考えると恐ろしい気がします。」

「本校の美術室などの真夏の授業は体調を悪くすると思う。自習監督に行って気分が悪くなりました。」「じゅうたんやOAフロアの部屋に入るとくしゃみが止まらなくなる時がある。また、合板などに使用される接着剤のにおいにも敏感なので、定期的な検査を今後も続けてほしい。」「だんだん無理がきかなくなった。」などの意見が寄せられました。


「2002年2月5日に出された「学校環境衛生の基準」の改定を知っていますか?」の質問に対し、52%の先生方が「知っている」、48%の先生方が「知らない」と答えられました。「「学校環境衛生の基準」が改定され、定期・臨時検査などの化学物質の測定が義務付けられましたが、測定が行なわれましたか?」の質問に対し、61%の先生方が「実施された」、2%の先生方が「予定されている」、37%の先生方が「わからない」と答えられています。


「学校環境衛生の基準」に基づいて、各学校でホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの検査が行なわれているようですが、その目的、意義というものの認識がまだまだ低いと感じられます。実際、「先日、調査がされたようだが、今までにそういった症状があったという報告がどれくらいあったのか?どのような理由で調査されているのか?きちんとこちら側にも説明してほしい。」という意見が寄せられています。


「教室の換気について」という質問に対しては「換気扇などの設備がある」が25%、「窓を開ける」が75%という結果です。現状から考えると、換気扇などの設備は必要であると思われます。「学校で購入・納入・使用する物の安全確認はしていますか?」の問いに対しては「全てしている」が42%、「一部している」が18%、「していない」が5%、「わからない」が35%という結果です。当然全て安全確認をした方がいいということは言うまでもありません。




 3.対策

  (1)シックスクールに関する認識を高めてもらう。

  (2)定期検査の実施、結果の公表

  (3)事後措置の徹底
    @換気の励行換気設備の必要性
    A発生原因の究明、発生抑制処置「学校環境衛生の基準」には、
     検査結果が基準値を超えた場合の罰則の規程がない。
     また、事後措置は期限が明記されていない。
     事後措置後の再検査に関しても触れられていない。





 4.考査

現在、「化学物質過敏症」「シックハウス」「シックスクール症候群」という病名が一般的に広く知られるようになってきました。ひとつ念頭に入れておかなければならないことは、これらの病気は一部の限られた人、化学物質に対する感受性がたまたま高い人に起こるというような特殊な病気ではないということです。現代社会は便利さ、快適さ、豊かさを求めるあまり、計らずではありますが、多数の化学物質を環境中に溢れさせてしまいました。結果、水も、空気も、食べ物も化学物質に汚染されています。(基準値、指針値、規制値にかかわらず)。現代人は多かれ少なかれ、すでに化学物質に曝されているのです。その暴露された化学物質の蓄積が、ある閾値を越えた時に、これらの病気を発症します。つまりきっかけさえあれば誰でもかかる可能性があるということです。また、これらの病気の専門の医師が少ないために診断がつかず、自律神経失調症である、単なるストレス性のものである、精神科疾患であるとして扱われているケースが多いということも念頭に置く必要があります。子供たちに関していえば、不登校、引きこもり、アレルギー疾患、体調不良の中には化学物質の悪影響によるものがあるということです。この問題は、決して他人事では済まされません。現に佐賀市内の学校でも実際にシックスクール症候群の典型例が認められました。これは自分たち自身の問題として、出来るだけ早急に対策を講じる必要性があるといえるのではないでしょうか。




シックスクールアンケート結果に対するコメント
佐賀大学理工学部機能物質化学科 宮島徹

  1)
学校という、生徒・先生にとって強制的に、また長い時間いなければならない場において、深刻な健康被害を受ける場合があることが明らかになった。特に長時間閉じられた後、おそらく揮発性化学物質が充満した状態での発症が目立つ。

  2)
問題を複雑にしているのは、症状の有無、およびその程度が個人により大きく異なることである。因果関係、発症のメカニズムが急務である。
これによって、化学物質を特定し、建物、文具、印刷物などのここの問題についての適切な対処が可能となるであろう。

  3)
除草剤、殺虫剤、ペンキ、消臭剤、ワックスなどの様々な化学物質について、学校側の安全性についての認識が不十分である。改善のための地道な努力を確実に進めていくべきである。

                                                        以上